東西小私鉄乗り比べ

 2009年から2010年にかけての年末年始は、曜日配列の悪さもあって短い休みしか取れなかった。 また、その他にもいろいろ雑用が立て込んでいて、長期に旅行に行くことなどできそうになかった。 せっかく18きっぷシーズンというのに、買っても消費できる見込みもなさそうだ。
 そんな訳で、この冬は関東や帰省先の大阪といった近場に出かけるのが精一杯であった。 JR線や大手私鉄に今更乗っても仕方ないので、 これまでわざわざ乗る機会もなく、未乗車のままとなっている中小私鉄を中心に細々とめぐることにした。

目次

2009/12/20

 この日は、神奈川県内で数少ない未乗線区である伊豆箱根鉄道大雄山線、 横浜新都市交通を乗りつぶしに出かけた。

■ 松田駅入口〜大雄山駅 富士急湘南バス

 小田急RSEにより運転される特急「あさぎり」に乗って、松田へとやってきた。 「あさぎり」は松田から御殿場線に入るため、小田急新松田駅ではなくJR御殿場線の松田駅に入線する。 松田駅には2つ出口があり、1つは小田急新松田駅と近く、もう1つは駅本屋にある昔からの出口である。
 その昔ながらの出口から下車しようとしたところで、うっかりしていたことに気づいた。 小田急に乗車する際、Suicaで入場してしまったのだ。 松田駅はJR東海の駅なので、当然ながらSuicaは使えない。
 どうしたものかと思いつつ改札口に向かうと、駅員さんはSuicaを怪しげな機械に通し、何やらキー操作をした。 どうやら無事精算できたようだ。駅を出ると、駅前に店はほとんどなく寂れている。 割と賑やかな新松田駅前とは対照的だ。
 駅前の道路にあるバス停から、大雄山行きのバスに乗る。 大雄山へ行くバスは富士急行と箱根登山バスの2社があるが、後者の方が本数も多く所要時間も短いようだ。 今回はたまたま富士急行バスが早く来たので、そちらに乗る。
 乗車したバスは相当年季が入っているらしく、床は何と板張りであった。 車内には懐かしいニスの匂いが充満している。それでもバス共通カードやICカードには対応しているというのが妙だ。
 バスはガラガラのまま駅前通りを進み、国道246号に出て御殿場線沿いに進む。 東山北駅付近で線路をくぐり、時折細い道を通りつつ酒匂川を渡る。 その後も足柄山のふもとの林の中を走り、このままどこへ行くのだろうと思いかけたところで、 アサヒビールの大きな工場に着いた。ここは単なる工場ではなく、 工場見学やビールの試飲もできる施設があり、観光客もちらほら見かけた。
 工場前で5分停車した後、発車。その後も時折幅5mほどの細い道を通りつつ、 大雄山駅に到着した。松田からの所要時間はおよそ30分といったところか。


小田急RSE「あさぎり」で松田にやってきた。

■ 大雄山15:50発〜小田原16:11着 伊豆箱根鉄道

 大雄山駅前は大きなスーパーや商業施設もあり、予想以上に賑やかなところだ。 ここから、小田原に向かう伊豆箱根鉄道に乗る。 同じ小田原から出ている箱根登山鉄道と違って観光色は薄いが、 大雄山からバスで少し行ったところに最乗寺という寺院があり、その参拝路線という色合いもあるようだ。
 早速乗車しようとすると、改札口にはPASMO対応の自動改札機があった。 また、列車は日中12分間隔の運転であるらしい。思った以上に先進的な鉄道だ。 やってきた車両も、3両ロングシートの比較的新しい車両で、運転台はワンハンドルマスコンとなっている。 大半の車両はステンレス製だが、今回乗車したのはたまたま鋼製であった。
 ハイキング帰りの客などを乗せて大雄山を発車した列車は、短い間隔で駅に止まりながら単線の線路を行く。 車窓は正直言って取り立てて目を引くものはなく、住宅街が続く。 途中駅は無人である場合が多く、各駅にはICカードのリーダが設けられている。 無人駅での改札のために車掌が乗務しているが、最近はICカード利用の人が多いせいかあまり仕事はなさそうだ。
 五百羅漢駅の手前で小田急線をくぐり、緑町駅でJR線をくぐる。 最後はJR線と平行に進み、小田原着。


いかにも地方私鉄の終着駅らしい大雄山駅。

■ 小田原16:22発〜大船16:55着 快速アクティ

■ 大船17:02発〜新杉田17:14着

■ 新杉田17:23発〜金沢八景17:48着 横浜新都市交通

 小田原からは快速アクティーと根岸線を乗り継ぎ、新杉田へと向かった。 新杉田という所へは今回初めて来たが、大きなショッピングセンターもあり予想以上に栄えていた。
 高架下の商店街を少し歩くと、シーサイドラインこと横浜新都市交通に乗る。 横浜市南部を走る新交通システムだが、今まで乗ったことはなかった。 改札を抜けてホームに向かうと、新交通システムらしくホームドアを装備していた。 無人運転のため誰もいない運転台の直後に座る。 車内の日よけが家庭用のレースカーテンのようなものである点が目を引く。
 やがて、新杉田を発車。もうすっかり日は暮れてしまったが、右手には団地などの住宅街、 左手には首都高という光景が続く。車庫のある並木中央を出ると、 工場や大きな団地といった、いかにも埋立地らしい大味な光景が続く。
 やがて、左手にきらびやかなイルミネーションが見えてきた。 遊園地や水族館のある八景島である。八景島には来たことがあるのだが、 いかんせんクルマでの来訪だったため、こうやって車窓から眺めるのは初めてだ。 このあたりでは一応海が見えたが、シーサイドラインという線名の割に海が見えたのはこの付近だけだった。
 その後はまた埋立地を進み、終点の金沢八景に着く。 金沢八景駅は開業以来仮駅であり、ホームなどの施設は仮普請であることが見て取れる。 歩道橋を歩いて京急の駅に向かうと、道すがらには古びた商店が並んでいる。 ここを再開発してシーサイドラインの駅を持ってくる構想もあるようだが、なかなか進捗していないようだ。
 金沢八景からは京急に乗り帰宅した。 これで、神奈川県内の鉄道路線(ケーブルカー除く)は全て乗りつぶしたことになる。


シーサイドラインはホームドア完備のため、 まともな写真を撮るのは難しい。

2009/12/26

 この日は、千葉・茨城県内の未乗線区である流鉄、関東鉄道竜ヶ崎線、 千葉モノレールを乗りつくすべく、ホリデーパスを片手に出かけた。

■ 馬橋13:35発〜流山13:47着 流鉄

 常磐線特別快速と各駅停車を乗り継ぎ、馬橋駅へとやってきた。 馬橋は一見何の変哲もない常磐緩行線の駅だが、 この駅からは流鉄というミニ私鉄が出ている。 流鉄は、常磐線のルートから外れた流山を目指す鉄道路線であるが、 近年武蔵野線やつくばエクスプレスが近くに開業し、苦戦しているらしい。
 流鉄の改札口にたどり着くと、そこには駅員の姿はなかった。 自動改札機もなく、切符のチェックは何ら行われていないようだ。 ICカードも使えないようだ。改札の脇に自動券売機だけはあったので、 そこで切符を買って列車に乗り込む。中小私鉄で多く見られる元西武の車両で、 黄色い塗装が特徴的だ。
 列車に乗り込んだものの、随分空いている。2両編成の先頭部には2人しか客がいない。 20分間隔の運転でこれでは、経営が成り立つのだろうかと思う。 ともかく馬橋を発車し、流山へと向かう。しばらくは常磐線と併走するので、 家の向こうに架線柱が見える。
 やがて、1つ目の駅である幸谷に着く。ここはJRの新松戸駅に近く、かなりの乗客があった。 静かだった車内もようやく賑やかになった。次の小金城趾で行き違いをし、 住宅地の合間を進む。保線があまりよくないせいか、速度はそれほどでもないのによく揺れる。
 途中駅で少しずつ客を降ろし、終点の流山に着いた。流鉄はわずか6駅しかないミニ私鉄なので、 本当にあっという間だった。


西武鉄道同様の黄色い車体が目に付く。

■ 流山13:55発〜幸谷14:03着 流鉄

■ 新松戸〜柏〜佐貫

 流山は江戸川沿いの歴史ある町で、新撰組にちなむ史跡もあるようだ。 駅舎も木造の渋いもので、いかにも小私鉄らしい。 折り返しまで少し時間があるので構内を観察すると、行き止まりの先に車両基地があった。 青、黄緑、オレンジと、色とりどりの車両が留置されている。いずれも西武からの譲渡車のようだ。
 やがて、発車時間となる。発車ベルが鳴り終わっても、乗客は焦ることなく悠々と列車に乗り込んでくる。 見ると、駅舎の外で駅員が乗り遅れそうな客がいないかチェックし、確認が済んだ時点で発車合図を出していた。 都心から程近い鉄道路線とは思えないほど、のんびりした光景だ。 この辺が、武蔵野線やつくばエクスプレスにはない流鉄の「良さ」なのかもしれない。
 幸谷に戻りつつ観察してみると、途中の全ての駅に駅員がいた。 そのため、乗車時には検札はせず下車時にのみチェックしているようだ。 路線網が小さく閉鎖系であるからこそできる芸当かもしれない。
 やがて幸谷に到着し、程近くにある新松戸駅に向かう。 ここから常磐線に乗り、佐貫へと向かった。


流鉄の終点・流山駅は小ぶりな木造駅舎。

■ 佐貫14:52発〜竜ヶ崎14:59着 関東鉄道

■ 竜ヶ崎15:05発〜佐貫15:12着 関東鉄道

 佐貫からは、これまたミニ路線である関東鉄道竜ヶ崎線に乗る。 関東鉄道というと取手から出ている常総線の方がメジャーだが、 竜ヶ崎線の方もPASMOや新型気動車が導入されるなど、しっかり整備されている。
 列車に乗り込むと、竜ヶ崎方の運転台が右側に設置されているのが目を引いた。 途中駅のホームが全部右側にあるため、 ワンマン運転がしやすいようにこのような配置になっているのだろう。
 常磐線からの乗り継ぎ客を乗せ、佐貫を発車する。 JR線との連絡線などは特にないようで、検査等で常総線と車両をやり取りするときはどうするのだろうと思う。 列車は平坦な畑地の中をまっすぐに進み、唯一の途中駅である入地駅を過ぎ、 大きなショッピングセンターが見えてくると、間もなく終点の竜ヶ崎に着く。
 早速駅の外に出てみると、商店などもいくつかあってそこそこ賑やかな場所であった。 しばらく滞在の後、佐貫へと戻る。


運転台配置が独特な関東鉄道の気動車。

■ 佐貫〜柏〜新松戸〜西船橋〜船橋〜千葉〜都賀

■ 都賀17:11発〜千城台17:19着 千葉モノレール

 佐貫からは常磐線、武蔵野線、総武線を細かく乗り継ぎ、 千葉の少し先の都賀という駅に向かった。 途中、武蔵野線では新松戸行きの臨時列車を見かけた。中山競馬場の観客輸送のためらしいのだが、 そんな列車が走っていると走らなかった。
 さて、都賀からは千葉都市モノレールに乗る。公式ページなどでは「千葉モノレール」と通称されているので、 以下こちらで記載しようと思う。千葉を中心に千城台、県庁前、千葉みなとへと路線を伸ばしていて、 今から乗る千城台までの区間がもっとも長い。 この千葉モノレールを乗りつぶすべく、休日限定の一日乗車券を購入して改札を通った。
 ホームに上がると、天井部分には懸垂式モノレール独特の太いチューブのような軌道が通っている。 一方ホームの下には50cmほどの「溝」があるだけで、簡単に降りてしまえそうだ。 それを見越してか、「立入禁止」との札がしつこいぐらいに設置されている。
 やってきた列車に乗り込み、まずは終点の千城台を目指す。軌道は2車線ほどの道路の上を通っていて、 車両の真下には車が走っている。通り沿いの商店の窓などが間近に見え、空を飛んでいるかのようだ。 列車は住宅街を進む。車両は2両編成で、乗客はそれほど多くない。 今乗っている状況だけを見ると、バスでも十分代替できてしまいそうで、 わざわざモノレールを通す必要があったのかやや疑問ではある。
 やがて、終点の千城台に到着。駅前には大きなショッピングモールがあった。


懸垂式モノレールの軌道は独特の形状をしている。

■ 千城台17:28発〜千葉17:52着 千葉モノレール

■ 千葉17:57発〜県庁前18:02着 千葉モノレール

■ 県庁前18:05発〜千葉みなと18:15着 千葉モノレール

 折り返しの列車で、今度は千葉を目指す。 都賀を通り過ぎると、先程乗った総武本線の上を跨ぐ。 その先も住宅地を進むが、動物公園駅の周辺は森になっているようだった。 駅名から推測するにおそらく動物園があるのだろうが、暗いのでよく分からない。
 さらにしばらく進むと、だんだんと周囲にビルが増え、下の道路も車線が増えた。 千葉公園という公園の脇を進み、再び総武本線の上をまたいで、千葉駅に到着する。
 千葉駅はJRの駅の真上にあるようで、ガラス越しにJR千葉駅の構内がよく見える。 ここから県庁前に行く支線に乗り換える。 今度は千葉市の中心街を進むので、周囲はビルばかりだ。軌道の高さもかなりのもので、 ビルの5階程度に相当するようだ。クリスマスのイルミネーションを見つつ進み、 県庁前へとたどり着く。
 再び折り返しの列車に乗り、千葉を経由して今度は千葉みなとへ向かう。 千葉市役所の前を通り、最後は90度カーブして京葉線の千葉みなと駅の脇に横付けとなる。 これで、千葉モノレールの乗りつぶしが完了した。


千葉モノレールは連結運転が可能で、車体上部に連結器がある。

2010/1/3

 この日は夕方から、大阪市営地下鉄の長堀鶴見緑地線を乗りつぶすべく京橋へ向かった。 長堀鶴見緑地線は、門真南と対象を結ぶ路線であるが、 その両端の1駅間ずつが未乗となっている。

■ 京橋17:25発〜門真南17:37着 大阪市交通局

■ 門真南17:38発〜大正18:07着 大阪市交通局

 京阪京橋駅脇の駅前広場の地下に、長堀鶴見緑地線の乗り場がある。 ここから長堀鶴見緑地線に乗るのは2度目である。 最初に乗ったのは1990年、鶴見緑地で行われた「花の万博」に出掛けた時だ。 長堀鶴見緑地線は花博のアクセス路線として建設され、 当時まだ目新しかったリニアモーター式地下鉄ということで注目された。
 やってきた門真南行きに乗り込む。休日ながら夕方ということで乗客はそれなりに多い。 車内の貫通路上には、2段式のLED表示機が設置されている。 これも開業当時は珍しかった設備で、行き先案内の他 「Linia Motor Car 7000」というロゴが表示されたり、沿線の名所がアニメーション表示されるなど、 なかなか凝っている。
 列車は鶴見緑地を出て、いよいよ未乗区間に入る。1駅走って、終点の門真南に着く。 すぐに折り返して今度は大正へと向かう。 京橋から心斎橋までは、開業した1996年に一度乗って以来の乗車である。 途中、大阪ビジネスパーク駅を通過するが、まだ正月の3が日とあって乗客の乗り降りはほとんどない。 それでも、心斎橋の付近ではやや乗客が増えた。
 心斎橋から先は最も新しい開業区間で、大阪ドームに行く際に乗ったことがある。 そのため、ドーム前千代崎駅から先が未乗区間となっている。 心斎橋から4駅で、終点の大正に到着した。


日本発のリニアモーター式地下鉄車両の70系。

2010/1/4

 この日は、大阪南部の未乗線区を乗りつぶすべく、半日がかりで出かけた。

■ 梅田〜本町〜谷町四丁目 大阪市交通局

■ 谷町四丁目11:57発〜八尾南12:23着 大阪市交通局

 梅田から御堂筋線に乗り、本町で中央線に乗り換える。 中央線は本町より西と、堺筋本町より東は確実に乗った記憶があるのだが、 その間は乗ったかどうか記憶が曖昧であるため、一応乗っておくことにする。
 谷町四丁目まで乗車し、今度は谷町線に乗る。谷町線は谷町九丁目より南が未乗車だ。 谷町四丁目で電車を待っていると、昨年完成したばかりの新型車両が反対のホームにやってきた。 一方、こちらのホームにやってきたのはかなり年季の入ったアルミ車。 30系という車両で、左側の窓の高さが狭いのが特徴だ。
 天王寺を過ぎ、阿倍野まで来ると駅の造りが急に新しくなる。 全然知らなかったが、天王寺より先の区間は完成したのが1980年と比較的新しいのだ。 列車は時折直角に近いカーブを曲がりながら進む。 やがて、列車は出戸に着く。ここで車内の乗客が一気に下車した。 ここは大きなバスターミナルがあり、乗降客が多いようだ。
 その後も地下区間を淡々と進み、 最後は地上に出て終点の八尾南駅に着く。駅構内には検車場も併設されており、構内は非常に広い。 これで、初乗車から実に足掛け20数年掛けて、ようやく大阪市営地下鉄全線の乗りつぶしを果たした。


かつては様々な路線で走っていた30系も、残る車両はわずか。

■ 八尾南駅前〜JR八尾駅前 近鉄バス

■ 八尾〜久宝寺〜新今宮

 八尾南の駅前には、立派なロータリーが整備されバスが発着している。 近鉄八尾と藤井寺を結ぶ路線もここに立ち寄っており、 本数も一時間に4、5本とそれなりに多い。 待っているとすぐに近鉄八尾行きがやってきたので、乗る。
 バスは八尾市の住宅街を走る。バスの中で路線図を見ると、 近鉄八尾駅よりもJR八尾駅の方が八尾南駅から近いようだ。この辺の土地勘は全然ないため、よく分かっていなかった。 10分ちょっとで、JRの八尾駅に到着したので下車する。
 JR八尾駅は、木造の非常に古めかしい建物だ。大阪の程近くにこんな駅舎が残っていたのかと思う。 3分ほど遅れてやってきた103系各駅停車に乗る。次の久宝寺で大和路快速に乗り換え、新今宮で下車。

■ 恵美須町〜住吉鳥居前 阪堺電気軌道

 新今宮駅を出て、通天閣などのある「新世界」と呼ばれる地域に向かって北上する。 このあたりは労働者の町でもあり、簡易宿泊所や立ち飲み屋などが点在する独特の風景が続く。 目前に電気街を控える恵美須町にたどり着くと、そこには古びた駅があった。 阪堺線の始発駅、恵美須町である。
 改札も何もないままホームに進むと、そこには思いのほか多くの客が待っていた。 沿線の住吉大社に向かう初詣客であろう。 初詣輸送のため、従来12分毎の列車は10分毎に増発されている。
 列車に乗り込み、恵美須町を出発する。 次の南霞町は新今宮駅に近く、かなりの乗客がある。 その後は、時折太い幹線道路を豪快に横断しつつ、 西成のドヤ街にも近い古びた住宅街を進む。この辺は2007年に一度乗車したことがある。 しばらくすると併用軌道に入り、2車線程度の道を進む。 東玉出は南海高野線の岸里玉出駅に近く、乗り換え客が一気に乗ってきて車内は満員になった。
 電車は満員のまま併用軌道を進み、住吉鳥居前電停に着く。 ここで初詣客が一気に下車した。 ここは住吉大社や南海住吉大社駅に近い。 初詣客をかき分けるように進み、駅へ向かう。

■ 住吉公園〜住吉 阪堺電気軌道

■ 住吉〜浜寺駅前 阪堺電気軌道

 南海の住吉大社駅の脇に、阪堺上町線の起点、住吉公園駅がある。 上町線には以前、天王寺から住吉まで乗車したが、 住吉から住吉公園までのわずか200mの区間だけはまだ乗車していない。 これからその区間を乗りつぶそうと思う。
 しばらく待っていると、緑色の古びた車両がやってきた。 床や肘掛などの内装は全て木造で、ニスの匂いがする。 ドアと床との間のステップは50cm近くもあり、バリアフリーとは言い難い構造だ。 車内の銘板を見ると、「昭和参年製造」とあった。 普段より列車を増発している関係で、おそらく普段は予備車となっているこの車両を運用しているのだろう。
 住吉公園を発車した列車は、程なく阪堺線とクロスして住吉駅に着く。 この後は浜寺駅前に行きたいので、出口で運賃290円を払って下車する。 住吉駅で2列車を乗り継ぐ際は、最初の列車で乗り継ぎ券を受け取ることで通しの運賃で乗車できることになっている。 普通はこんな短距離で下車することはないため運転士はやや面食らっていたが、乗り継ぎ券を受け取ることはできた。
 住吉でしばらく待ち、上町線方面からやってきた浜寺公園行きに乗る。 住吉大社の前を抜けると、電車は再び専用軌道を走る。 車庫のある我孫子道を過ぎると、古そうな鉄橋で大和川を渡り、堺市内に入る。 しばらくすると再び併用軌道となり、太い幹線道路の中央部を走る。 道路の幅が十分あるため車が軌道に入り込んでくることもなく、電車は順調に進んでいく。
 堺の中心部に近い大小路を過ぎ、御陵前を通過すると線路は再び専用軌道となる。 このあたりまで来ると駅の間隔は普通鉄道並みに長くなってきた。 最後は南海線をオーバークロスして海沿いに出て、浜寺公園の松林に沿って進み、 終点の浜寺駅前に到着した。浜寺駅前電停は屋根もなく、小さな売店が建っているだけのそっけない駅であった。


車令80年を超えてもまだまだ現役の161形。

■ 浜寺公園14:22発〜堺14:30着 南海電鉄

■ 堺駅前〜堺東駅前 南海バス

 電停から少し歩いたところに、南海の浜寺公園駅がある。 浜寺公園駅の駅舎は、日本最古の部類に入るほどの由緒正しいもので、 しゃれた形の柱などに、かつてリゾート地として賑わった浜寺公園の玄関口としての威厳が感じられる。
 また、この駅は線路の配線も面白く、上りの待避線は本線のホームとは縦にずれた位置に設置されている。 そのため、待避線に入る列車は一旦本線を通過するという変わった運転方式をとる。
 普通列車に乗って堺に出て、そこから高野線の堺東に向かうバスに乗る。 堺と堺東の間のバスは、堺市の都心を貫く路線として頻発されており、すぐに乗ることができた。 先程乗ったばかりの阪堺線の軌道を横断し、10分ほどで堺東に着く。


由緒ある木造駅舎が残る浜寺公園駅。

■ 堺東14:54発〜和泉中央15:16着 南海電鉄・泉北高速

■ 和泉中央15:22発〜中百舌鳥15:38着 泉北高速

■ 中百舌鳥15:47発〜梅田16:29着 大阪市交通局

 今日最後に乗りつぶすのは、南海高野線の中百舌鳥から分岐する泉北高速鉄道である。 地元意外では余り知名度のない典型的なニュータウン鉄道ではあるが、その歴史は結構長く、 近年ではラッシュ時に10連の通勤電車が走るほど輸送量も多い。 列車の本数もそれなりに多く、ほとんどの列車は高野線に乗り入れて難波へ直通している。
 堺東から、泉北高速直通の準急電車に乗る。車両は7000系という泉北高速の車両であった。 真っ白な車体が、ステンレス車の多い高野線では目を引く。 堺東を出て、3駅で中百舌鳥に着く。ここからいよいよ泉北高速線に入る。
 中百舌鳥を出ると、列車はトンネルに入る。しばらくトンネルを走った後、 カーブしながら地上に出て、今度は高架線を進む。郊外の住宅街をしばらくひた走り、 ようやく最初の駅である深井に着く。深井を出ると、太い幹線道路に挟まれるようにして進んでいく。 道路に挟まれている点といい、起伏の多い地形といい、何となく北大阪急行の車窓に似ているな、と思った。
 やがて、列車は終点の和泉中央に到着した。駅前に大きなショッピングモールがあったりして、 いかにもニュータウンの駅、といった風情である。
 折り返して中百舌鳥に戻り、中百舌鳥からは御堂筋線に乗って梅田へと戻った。


最新型の7000系で泉北高速を乗りつぶし。

2010/1/15

 この日は、秩父鉄道の未乗区間を乗りつぶすべく出かけた。

■ 池袋12:36発〜小川町13:51着 東武鉄道

■ 小川町13:54発〜寄居14:10着 東武鉄道

 まずは池袋から東上線に乗る。 東上線もここ数年はご無沙汰しており、こうやって昼間に池袋から乗るのは10年ぶりぐらいではないかと思う。 8000系の急行に乗って、池袋を発車する。
 池袋を出てしばらくは、板橋区内の住宅地を進む。 最初の停車駅の成増まではずっと地平を走り、踏切が多く駅も古びている。 成増を出ると地下鉄有楽町線が合流して、和光市着。 ここからは複々線となって、道路とも立体交差するようになる。 途中駅のホームも幅が広く、急に設備が立派になった感じがする。
 志木で複々線が終わり、以降は郊外の住宅地を進む。 ふじみ野、川越、坂戸と進むにつれ住宅街よりも田畑や雑木林の割合が増えてくる。 車内の客も霞ヶ関あたりで一気に減り、だんだんと空いてきた。
 坂とで越生線と分岐すると、列車は右に急カーブする。 左手には奥多摩や秩父の山々が迫ってきた。 東松山で残っていた客がほとんど降り、先頭車はがらがらになった。 車庫所在地で、有楽町線からの直通列車の北限である森林公園を過ぎ、 2つ先の武蔵嵐山を過ぎると周囲は平地から山林に変わる。 そして、途中から線路は単線に変じた。周囲の風景が風景だけに、単線でも納得できる。
 しばらく走ると山林から盆地に出て、小川町に到着。 小川町では寄居行きに乗り換える。小川町から先はワンマン運転となり、 編成も4連と短くなる。
 小川町を出ると、しばらく八高線と併走した後、八高線の線路を跨ぐ。 その後はずっと山林の間を進んでいく。途中の駅はどれも小さく、 乗り降りする客も少ない。ローカルムード漂う車窓が続く。 やがて、列車は寄居に到着。東上線はその名の通り、かつては上州(群馬県)を目指していたが、 ここで力尽きてしまい寄居が終点となっている。


東上線の小川町から先はワンマンでの運行。

■ 寄居14:35発〜羽生15:27着 秩父鉄道

 寄居はJR、東武、秩父鉄道の三社が集まる駅だが、改札は1つしかなく秩父鉄道に委託されている。 そんな駅構内を眺めていると、JRの方に見慣れない編成がいるのを見かけた。 高崎所属の旧型客車(イベント等で使用)2両を、 ディーゼル機関車がプッシュプルで牽引するという妙な編成だった。一体なんだったのだろうか。
 この駅には自動改札がなく、Suica・PASMOのタッチ機が改札と、東武線ホームと改札との連絡通路、 そして秩父鉄道ホームに降りる階段の手前にあった。 秩父鉄道ホーム手前にごちゃごちゃと注意書きが書かれているので良く見てみると、 東武もしくはJRから秩父鉄道に乗り換える際、このタッチ機にタッチせねばならないらしい。 しかし、東武線との連絡通路にあるタッチ機で既にタッチしたので、 ここで2度目のタッチとなる。なぜ2度のタッチが必要なのか、最初は理解できなかった。
 しばらく考えて、ようやく理由を推測することができた。 東武線連絡通路のタッチ機にタッチすると、東武線の出場記録と共にJRへの入場記録が付くのだろう。 そのため、Suicaの使えない秩父線に乗るときや、駅から出場するときには、 再度タッチ機にタッチすることでJR線の出場記録をつける必要があるのだ。 この辺の仕組み、初めて乗った人はまず分からないだろう。
 やがて、やってきた羽生行き列車に乗る。元国鉄101系である1000系だ。 最近、1000系の一部車両は国鉄時代のリバイバル塗装となっていて、やってきた列車はスカイブルーとなっていた。 101系のスカイブルーというとあまりピンとこなかったのだが、 少ない両数ながら京浜東北線での走行実績もあったようだ。
 列車は寄居を出ると、関東平野を東へ進む。秩父鉄道は羽生と三峰口を結ぶ線だが、 長瀞や秩父、三峰口といった観光地は、寄居を境に西半分に集中している。 東半分は観光地もなく車窓も地味である。その東半分の区間が未乗であるので、今回乗りに来た。 途中駅では、石灰石を満載した貨物列車と何度もすれ違う。 これだけ貨物輸送が盛んな私鉄というのも、今では数少なくなった。
 やがて、列車は武川駅に到着。かなり広い構内を持ち、ホッパ車がたむろしている。 この駅を出るとしばらく複線を進み、やがて片方の線路は左へと分岐していく。 これは、熊谷貨物ターミナルへ至る貨物専用線だそうだ。こんな線路があるとは知らなかった。 しばらく走っているとだんだん市街地となり、上越新幹線・高崎線と合流し、併走する。 上熊谷駅を出ると、JRの線路との間に赤錆びた線路が続く。 これは廃線となった東武熊谷線の軌道跡である。
 やがて、列車は熊谷に着いた。ここでほぼ全ての客を入れ替えて発車する。 JRの線路をオーバークロスして、しばらく走ると行田市に着く。 ここは平凡な途中駅なのかと思っていたら、駅前にはかなりの市街地が広がっていた。 どうやら、行田市の中心部は高崎線の行田駅周辺ではなく、行田市駅周辺であるようだ。
 あとは住宅街を進んで、終点の羽生に到着した。 羽生は立派な橋上駅に改築されており、地方私鉄の駅とは思えないほどだ。 羽生からは東武伊勢崎線で帰宅した。


寄居駅に忽然と姿を現した謎の旧客。


国鉄時代の復刻塗装がなされた秩父鉄道の元101系。

私鉄乗りつぶし状況

新規乗車キロ数

会社名路線名乗車区間キロ数
伊豆箱根鉄道大雄山線小田原〜大雄山9.6
横浜新都市交通金沢シーサイド線新杉田〜金沢八景10.6
流鉄流山線馬橋〜流山5.7
関東鉄道竜ヶ崎線佐貫〜竜ヶ崎4.5
千葉都市モノレール1号線千葉みなと〜県庁前3.2
2号線千葉〜千城台12.0
大阪市交通局谷町線谷町九丁目〜八尾南12.6
中央線本町〜堺筋本町0.7
長堀鶴見緑地線大正〜大阪ドーム前、鶴見緑地〜門真南1.9
阪堺電気軌道阪堺線恵美須町〜南霞町、住吉〜浜寺駅前10.1
上町線住吉〜住吉公園0.2
大阪府都市開発泉北高速鉄道線中百舌鳥〜和泉中央14.3
秩父鉄道秩父本線羽生〜寄居33.8
合計119.2