不思議だらけの駅・市ヶ谷~東京在住者でも知らなかった6つの不思議

中央線各駅停車の地味な中間駅かと思いきや…

市ヶ谷駅は山手線のほぼ中央に位置し、JR中央線や地下鉄3路線が乗り入れる駅です。駅前には「市ヶ谷掘」と呼ばれる皇居の外堀の一部と、防衛省の巨大な施設がある以外はこれといった名所はなく、東京にお住まいの方でも行ったことがないという方が多いのではないでしょうか。

筆者もこれまで中央線や地下鉄で通り抜けたことはあるものの、今までじっくり下車したことはなく、都心の駅ながらどのような駅なのかほとんど把握できていませんでした。しかし先日、何度か市ヶ谷駅で下車する機会があり、見れば見るほど不思議な駅だなと感じました。そこで、今回は市ヶ谷駅の不思議なポイントを6つご紹介したいと思います。

不思議1:3社局をまたぐ中間改札がある

市ヶ谷駅の構内図。赤丸の部分に中間改札がある。(東京メトロ公式サイトより)
構内図を拡大、加工したもの。緑色がJR、水色が東京メトロ、黄緑色が都営の改札内エリアで、赤矢印が乗り換え改札。

地上にあるJR市ヶ谷駅は中央線各駅停車のみが停車し、ホーム1面2線のみとごくシンプルな駅です。その中ほどに地下鉄乗り換え専用の地下通路に向かう階段があり、その先には全国的にも数少ない「3社局をまたぐ中間改札」があります。上記の構内図の赤丸の中が中間改札で、20mほどの間に「JR⇔メトロ」「JR⇔都営」「メトロ⇔都営」の3つの中間改札があります。(2番目の図の赤矢印)

3社相互間の中間改札といえば、例えば新宿駅(JR・小田急・京王)にもありますが、これほど近くに3つの中間改札が近接している例は他にないと思います。

不思議2:都営の乗車券で東京メトロの改札を通過できる

駅改札付近にある改札通過サービスの案内。

先程の構内図を見ればわかるとおり、東京メトロと都営の駅は乗換通路でつながってはいるものの位置がやや離れていて、それぞれ独自の改札口を持っています。そこで、乗客の利用の便を図るため、都営地下鉄の利用者が東京メトロの改札から入出場する(あるいはその逆も)ことが可能になっています。日比谷線・大江戸線の六本木駅などでも同じようなサービスをやっていますね。なお、JRは改札通過サービスの対象外となっています。

ちなみに、市ヶ谷駅の隣にある九段下駅では東京メトロ半蔵門線・都営新宿線のホームを隔てていた隔壁(通称・バカの壁)を撤去し、分かれていた改札口も1つに統一しました。ならば市ヶ谷駅も中間改札口を無くしてしまってもいいのでは、という気もしますが、九段下と違って駅の構造上中間改札を無くしても乗り換えの利便性が上がらないため存置しているのでしょう。

不思議3:乗り換えの際、方向感覚がおかしくなる

© OpenStreetMap contributors

市ヶ谷駅周辺の地図を見るとわかるように、駅に乗り入れる各路線は直交しておらず様々な角度で乗り入れてきています。そのため、乗り換えの際に方向感覚を失いがちです。中でも厄介なのが有楽町線で、(市ヶ谷から見ると)北西に位置する池袋方面行きの線路は北東に、南東に位置する有楽町方面行きの線路は南西に延びており、地理を知っているとかえって間違いを誘発しがちです。その他、南北線は南の永田町を目指しているにもかかわらず線路がJRと同じ西に延びていて、紛らわしいです。

不思議4:東京メトロの駅では数少ない動く歩道がある

有楽町線と南北線のホームを繋ぐ地下通路。
地下通路の上は外堀、下は南北線の車庫となっている。「全駅スタンプラリー」ポスターには建設時の写真を掲載。

地図を見るとわかるとおり、有楽町線と南北線の駅は西側で大きく離れていて、その間を連絡通路が結んでいます。この通路には、東京メトロの駅構内としては数少ない動く歩道があります(他には永田町や水天宮前など、ごくわずかしか例がない)。

ちなみに、通路の上は外堀、下は南北線の車庫(留置線)があります。南北線は王子神谷に車両基地がありますがそのキャパが狭いため、都心にしては比較的広いスペースが確保できる外堀の下に留置線を作り、夜間の車両の留め置きに活用しています。その他、市ヶ谷駅には有楽町線と南北線を結ぶ連絡線があり、運が良ければ双方を行き来する回送列車が見られるかもしれません。

不思議5:動く歩道の進行方向が想像と違う

通路の壁面には動く歩道の進行方向を示す三角形が。しかし、よく見ると向きが逆になっている。
一部のタイルには誤って侵入することを防ぐ「進入禁止」の文字が。

その動く歩道の横の壁面には、進行方向を示す三角形のような模様があります。ですが、よくよく見てみると三角形の指す方向と動く歩道の進行方向が逆です。。なぜこのようなことになっているのかはよく分かりません。(もしご存じの方がおられましたら是非コメントください。)誤進入を防ぐため、動く歩道の出口側の壁面には「進入禁止」の注意書きが掛かれています。

不思議6:駅構内に江戸城の石垣がある

南北線のコンコースの一角に再現された江戸城の石垣。
ちょっとした博物館のような趣の展示も。

市ヶ谷駅で一番新しい路線である南北線のコンコースの一角に、江戸城のお堀の石垣を再現したものが置かれています。これは実際に城で使われ、後年発掘された本物の石を積み直したものだとか。また、他にも江戸時代の絵画や絵図が説明付きで展示されており、ちょっとした博物館のようになっています。乗り換え時間が余った際にでも覗いてみてはいかがでしょうか。

コメント

  1. しょう より:

    「動く歩道の進行方向が想像と違う」は、動く歩道を設置後に方向をそれぞれ逆に変えたから。数年前かな。方向を変えた理由は、不明ですが。
    ちなみに同じころ、いくつかの出入口の上り下りのお願いの方向も変わりました。
    導線の問題でしょうか。

    • rail20000 より:

      コメントありがとうございます。おっしゃる通り、他の導線と整合性を取るために変えたんでしょうね。

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