2003/3/3
稚内7:37発〜幌延8:31着 3032D スーパー宗谷2号 キハ261(4)
眠い目をこすりながら稚内のホームに降り立つ。が、あまりの寒さに一気に目が覚めた。
あたりは小雪が舞い、まだ空は薄暗い。
次の列車までしばらく時間があるので、駅前でも散策しようかと駅舎から出てみたが、寒くて駅舎の写真を撮るのが精一杯だった。
ここは旭川からでも260km離れた最北の地である。
今日はまず幌延まで行き、8時49分発のバスに乗ることにしている。そのためには稚内から始発の普通列車に乗ってもよいが、
その後の特急スーパー宗谷でも間に合う。折角特急乗り放題の切符を持っているし、
何も無さそうな幌延で長時間過ごすよりは稚内に少しでも長くいたほうがいいと思い、特急に乗ることにした。
とはいっても、稚内では先述のように外にも出られず、
駅の待合室でぼんやりしていただけだった。
8時31分、稚内発。南稚内を出ると市街地を抜け出し、あたりは無人の荒野になる。木は生えておらず、笹が茂っている。
起伏の激しい丘陵を、特急列車は豪快に駆け抜けていく。北海道らしい車窓だ。
次は、夜行ではなく昼間の列車で車窓を楽しみながら宗谷本線を走破したいと思う。
温泉で有名な豊富を通って、幌延着。
幌延8:49発〜留萌12:03着 沿岸バス
幌延は小さい駅ながらも有人駅で、沿岸バスのきっぷ売り場もあった。
北海道ではこういう小さな駅でも冷たい外気が入らないよう工夫され、
しっかり暖房も効いていて有難い。
ここからは、3時間バスに乗り続け、留萌本線の留萌まで一気に抜けてしまう。
こうすることで、宗谷本線で旭川を回るより1本早い列車で増毛にたどり着くことができる。
とはいえ、今考えるとそのままスーパー宗谷に乗り、宗谷本線の車窓を楽しむのもよかったかなという気もする。
乗車するバスは豊富始発で、乗ってきた特急からは豊富でも乗り継ぎが可能だったが、
バス代を節約するため幌延で乗り継ぐことにした。
バスは定刻に到着したので、早速乗り込む。乗客はわずか2,3人しかいない。バスの中には乗客へのサービスのためか、
それとも運転手の居眠り防止のためか、AMラジオがずっと大音量で流れている。鉄道ファンの方はお気づきと思うが、
このバス路線は廃止となった旧羽幌線とほぼ同じルートを通る。
つまり、このバス路線は羽幌線の代替バスという意味合いも持っている。
バスは幌延の町を抜けると、何もない平原を走る。
天塩川を渡ってさらに進むと、今度はまばらに家があるだけの寂しい海岸を延々と走り出す。
時折バス停があるのだが、周りに集落がないところにもバス停があったりする。幌延を出て以来、乗ってくる人はは全くいない。
最初のうちは海に見とれていたが、ふと山側を見ると海と平行に土塁のようなものが続いている。羽幌線の廃線跡に間違いない。
廃線跡はほとんど手を加えられることなく、バスが走る国道とつかず離れずの状態で続いている。
バスは沿線最大の町である羽幌に着く。バスはまず「本社ターミナル」というバス停で停車した。
その名の通り、沿岸バスの運転の拠点になっており、立派な本社ビル(?)も建っている。
ここでは今までの静寂がうそのように一気に乗客が増えた。
バスは街中の細い道を少し走り、今度は「羽幌ターミナル」というバス停に停車。ここは羽幌線の旧羽幌駅の跡地だそうだ。
ここでも結構な数の客が乗ってきた。ここからバスは苫前・古丹別などの町を通って留萌まで行くが、
夜行明けだからかこの辺で急に眠くなり、ぐっすりと眠ってしまった。
目が覚めると、留萌の街中に入っていた。しばらくするとバスは「留萌十字街」という停留所に停まった。
運転士さんに聞くと、降りるはずだった「留萌駅前」のバス停は既に通り過ぎてしまったとのことだったので、
あわてて飛び降りる。しかも、幌延で乗車する際に整理券をとり忘れてしまい、運転士さんからお叱りを受けてしまった。
幌延で運転士の交代があったのがまずかったか。
慌てて降りてはみたものの、今どこにいるのかさっぱり分からない。留萌では30分近く余裕があるので大丈夫とは思うが、
早く駅に行かないと列車が発車してしまう。周りはそこそこ賑やかなので、街から大きく外れたということは無さそうだ。
バス停の目の前の店の人に聞くと、駅までは歩いて数分とのこと。
留萌駅に着くと、丁度列車が発車していくところでかなり焦ったが、
12時15分発の深川行きが出て行ったところだった。
留萌12:30発〜増毛12:55着 キハ54(1) 5921D
留萌から一旦留萌本線の終点増毛に向かう。車両はキハ54の単行。北海道のローカル線ではおなじみの車両だ。
列車は今まで乗ってきたバスと同様、日本海沿いに進む。ただ、今までに比べ山が険しくなった気がする。
終点の増毛に到着。小さな駅舎と片面ホームがあるだけの、思ったより寂しい終着駅だ。
ちなみに、増毛という駅名は鉄道ファンの間では結構有名だが、植毛や育毛剤のCMで使われたことはないようだ。
増毛13:04発〜深川14:28着 キハ54(1) 4928D
ホームで一通り写真を撮り、今来た列車で折り返す。増毛を出ると、深川へ向けて低い分水嶺を超えにかかる。
それほど大した峠越えでもないので、車窓も今までのような雄大なものではない。
途中、恵比島という無人駅に停まる。ここは映画やテレビのロケ地となったところで、昔の駅舎が再現されている。
しかし、真冬のこの時期に観光客の姿はなかった。さらに走ると、今日の夜乗車する石勝線のかつての終着駅であった
石狩沼田に着く。このあたりは完全に石狩平野の中という感じだ。
終点の深川は、割と年季の入った駅舎だった。改札の前には、名物の「ウロコダンゴ」を売るカウンターがあったが、
オフシーズンだからか誰もいなかった。
深川14:40発〜旭川15:00着 2009M ライラック9号 781(4)
深川から旭川まで、わずか20分間だが特急に乗る。
この区間は普通列車より特急列車の方が圧倒的に本数が多いため、必然的に特急に乗ることになる。
札幌から深川までの区間は、広い石狩平野を走る函館本線だが、この区間は「神居古譚」とよばれる山越えとなる。
長いトンネルで難所を抜けると、もう旭川だった。
旭川では1時間半の待ち時間があるので町に出てみる。
旭川の駅前には、買物公園という歩行者専用の大通りがあり、多くの人で賑わっている。
こんな大きな街を歩くのは今回の旅行では初めてだ。寒さで道が凍結しており、歩きにくい。
凍結した道でも滑らないスパイクつきの靴が欲しくなる。ラーメン屋で遅い昼食をとるなどした後、次の列車に乗り込む。
旭川16:30発〜富良野17:39着 735D キハ150(2)
旭川駅の富良野線ホームは、函館本線や石北本線などのホームから離れた場所にあり、
長くて薄暗い地下道を延々と歩かねばならない。
これらのホームの間には車両の留置線が挟まっている。富良野線ホームに後ろには川が流れていて、河原は森になっている。
駅正面側の賑やかさとは対照的だ。
学校帰りの生徒を沢山乗せ、2両編成の列車は旭川を発車する。
旭川を出た列車は旭川の市外をしばらく走る。このあたりは駅の数も多い。
やがて街を抜け田園地帯に出るが、地形は平凡で、この時期は真っ白な雪原がただただ広がっている。
やがて富良野と並ぶ観光地の美瑛に到着。しかし、車窓からみるとごくごく普通の街にしか見えない。
美瑛で多くの生徒を降ろし、さらに南へと進む。美瑛からは若干地形が険しくなるものの、白い雪原が相変わらず続く。
ただ、駅の間隔はだいぶ長くなり北海道らしくなってきた。上富良野からは富良野盆地をひたすらまっすぐに進む。
沿線にはラベンダーで有名なファーム富田もあるが、当然今は雪に埋まっており何も分からなかった。
富良野駅は茶色をベースにした山間らしい駅だが、時期が時期だけに観光向けの施設などはあまり見られなかった。
富良野17:55発〜滝川18:58着 2436D キハ40(1)
富良野からは根室本線で滝川に向かう。初めて乗車する区間だが
、日暮れの早い北海道ではもう大分暗くなってしまい景色は見えない。
ただ、この区間には翌日の朝再び乗るのでまあ問題は無いだろう。富良野から一時間ほどで滝川に到着した。
滝川の駅に到着すると、猛ダッシュで改札を抜ける。
実はこの後、滝川駅からおよそ3kmに位置にある新十津川駅を19時21分に出る列車に乗ろうとしている。
つまり20分で3kmを移動しなければならない。
この区間にはバスもあるようだが、当然バスでは間に合わないのでタクシーで移動することにしていた。
最悪間に合わなければ、この後の日程を組み替えて明日の夜に乗車するつもりだが、
なるべくなら今日のうちに乗ってしまいたい。
そう思いながら駅前に行くと、運よくタクシーが客待ちをしていた。
結局滝川駅を出てから10分ちょっとで新十津川に着いた。
それにしても、新十津川の駅は人気の無い住宅街の裏手のような所にあり、
一瞬タクシーの運転手が道に迷っているのかと思ってしまったほどだ。
新十津川の駅前には商店もなく、駅前という雰囲気は全くといっていいほどしない。
新十津川19:21発〜石狩当別20:53着 5434D キハ40(1)
駅に着くと、既に列車は到着していた。乗車しているのはわずか数人で、鉄道ファンばかりと見受けられた。
その中に、昨日石勝線で見かけた鉄道ファン氏がいるではないか。
彼はどうやら札幌方面から乗車してきて、これから折り返すようだ。
それにしても昨日から客の少ない線区でばかり出会うものだ。
これから乗る札沼線は、石狩川を挟んで函館本線と平行に走っている。
札幌から石狩当別のあたりまではベッドタウンとして栄えているが、それより北はもともと沿線の人口が少ない上、
平行して函館本線があるので、特に浦臼より北は一日3本しか列車が無く、
ほぼ交通機関としての役目を終えているといっていい状況だ。
もともと札沼線は新十津川から留萌本線の石狩沼田まで延びていたが、既に廃止されている。
そんな状況で、列車の乗客は終点の石狩当別までずっと少ないままだった。
学校帰りに生徒が数人乗ってきたぐらいだっただろうか。
途中の駅も寂れた棒線駅ばかりで、例外は立派な駅舎の建つ浦臼駅と、交換施設のある石狩月形駅ぐらいだった。
石狩当別21:03発〜札幌21:46着 632D キハ143(3)
石狩当別駅は、大都市郊外の小奇麗な駅といったたたずまいで、立派な橋上駅舎が整備されている。
ここまで乗ってきた札沼線のローカル区間とは別の路線のようだ。
列車も3連と長い。これより先は「学園都市線」という今風の愛称がつけられている。
発車してしばらく走ると、真っ暗だった車窓も次第に明るくなり、
しばらく走ると駅前に店などが目立つ典型的な郊外駅になってきた。
桑園で函館本線と合流し、まもなく通勤客で賑わう札幌に到着した。
この日は夜行に乗るか札幌に宿泊するか決めかねていたので、宿を取っていなかった。
車内で持っていた北海道時刻表を見ると、
「11時以降チェックインの方は割引」という宿がススキノと中島公園の真ん中辺りにあるので、
そこに電話して予約を取った。
時間があるので札幌からススキノまで歩いてみる。
札幌駅と大通公園の間は一部外を歩かねばならないが、その他は地下通路が整備されており、
寒い中を歩かなくて済む。それにしても、夜遅いというのに地下通路は人が多い。
やがてススキノに到着。場所が場所だけにものすごい人だ。
この一日、人の少ない所ばかり通ってきたので人混みに入ると何だかほっとする。
都会に慣れきってしまっているせいだろうか。
折角なのでススキノで夕食を、と思い歩いたが、沿道にあるのは飲み屋ばかりでいい店が無く、
随分早くホテルの近くまで来てしまった。チェックイン時間の11時まで30分もある。
外で待つのも寒いし、仕方ないので地下鉄の中島公園駅に行き、券売機の前で寒さをしのぐ。
ところが、改札にはいいムードのカップルがいて、とても気まずい思いで待つ羽目になったのだった。