2004/6/23
木更津11:50発〜上総亀山12:51着 931D
横浜からアクアラインを経由する高速バスに乗り、木更津にやってきた。
木更津というと、千葉まで総武線に延々と乗った後、そこから内房線でさらに奥へと進まねばならず、
東京から非常に遠い所という印象があったが、バスだと本当にあっという間に着いてしまった。
昼だというのにシャッターの閉まった店が多い木更津の駅前をしばし観察した後、
久留里線に乗車する。前回乗ったときは途中で日が暮れてしまったので、実質初乗車である。
木更津を出た列車は、田んぼと住宅が入り混じる平野を走る。途中の駅の中には、
駅舎がなく、屋根のないホームが一本だけ、というような小さな駅もあって旅情を感じる。
途中の小櫃あたりから、周囲に山が迫ってきた。やがて、久留里に到着。
線名の由来にもなっている主要駅で、それなりの集落が形成されている。
この久留里で折り返す列車もあり、この先は列車の本数が減る。
久留里から先は、並行する小櫃川の渓谷が険しくなり、流れも屈曲するようになる。
そのため、線路もカーブが多くなり、川を鉄橋で何度も渡りながら進む。
木更津から1時間で、終点の上総亀山に到着した。
上総亀山はレトロな木造の駅舎があり、運転扱いのため駅員が常駐している。
駅前にはこれまたレトロな商店があり、まるで過去にタイムスリップしたかのような駅である。
上総亀山13:55発〜安房鴨川14:36着 鴨川日東バス
上総亀山では1時間ほど待ち時間があるので、駅周辺を散策してみる。
人気のない小さな集落を抜けると、亀山ダムという小櫃川に作られたダムがある。
そのダム湖の周辺が公園のようになっていて、ベンチなどが設置されている。
そのベンチに座り、木更津駅で購入した駅弁を食べた。
購入したのは「バーベQ弁当」。白飯の上にタレをつけて焼いた肉を載せただけのシンプルな弁当だ。
駅に戻ると、駅前広場にバスが停車していた。
普通のバスより一回り小さい、マイクロバスのような車体だ。
先客は誰もおらず、その後乗ってくる客もいなかったので、上総亀山からの乗客は自分一人であった。
運転士さんに話を聞くと、「休日は行楽客が何人か乗ってくる」とのこと。
自分のように久留里線に乗りに来た鉄道ファンが乗ってくることはあるか、と聞いてみると、
「そういう人はあまりいない」との返答であった。
バスは駅周辺の狭い道を抜けると、鴨川へ向かう国道を走る。
この先峠越えが控えているので、細い険しい道を進むのかと思いきや、
国道は結構立派で、バスはびゅんびゅんと飛ばしていく。途中、有料道路区間も通過したようだ。
途中の集落で何人かの客を乗せ、安房鴨川駅前に到着。
安房鴨川14:47発〜大原15:40着 284M
安房鴨川は内房線・外房線の終点であり、房総半島の最奥部にある駅である。
この安房鴨川から外房線に乗り、太平洋岸の街である大原を目指す。
安房鴨川から外房線の普通列車に乗る。車両は例によってスカ色の113系だ。
このあたりの海岸はリアス式海岸となっており、列車が海沿いを進む機会は少ない。
海沿いを避け、トンネルで山を貫く形で線路は引かれている。
安房鴨川から2つ先、安房小湊の駅に着く。
それほど大きな集落ではないが、これから乗る小湊鉄道が目指した地である。
駅周辺には日蓮宗の大きな寺があり、その参拝客の輸送をすべく小湊を目指したようだ。
安房小湊を発車し、
遊戯施設が閉園し寂れた行川アイランド駅などを眺めつつ進む。
やがて、列車は勝浦に着く。勝浦から先は険しい海岸を抜け、平地を進む。
一部、複線となる区間もあった。やがて列車は大原に到着した。ここでまた乗り換える。
大原16:20発〜上総中野17:13着 いすみ鉄道
大原からはいすみ鉄道に乗る。いすみ鉄道は、大原から小湊鉄道の終点である上総中野に至る鉄道であるが、
かつては国鉄の木原線という路線であった。その名前から分かるように、木更津と大原を結ぶ構想により建設され、
完成していれば先程乗った久留里線と繋がる予定であった。
東京から最も近い、国鉄廃止路線を転換した三セク線である。
さて、これからいすみ鉄道と小湊鉄道を乗り継いで五井に向かう予定である。
この行程にうってつけの企画きっぷとして、「房総半島横断乗車券」というのがあある。
いすみ鉄道と小湊鉄道の片道乗車券をセットにしたもので、
普通にきっぷを買って乗車するより運賃が安くなる。だが、いすみ鉄道の大原駅は無人のようで、
駅員はいない。やむをえず、停車している列車にとりあえず乗り込むことにした。
車内は、学校帰りの高校生で混雑していた。車内のロングシートはほとんど埋まり、
床にまで生徒が座り込んでいる。仕方なく、空いている席にちょこんと座る。
乗っている車両はレールバスとしては最も古いタイプの車両で、老朽化が目立つ。
大原を発車し、ちょっとした山越えをした後は、田畑の間を列車は進む。
20分ほどで、大多喜に着く。里見八犬伝の舞台にもなった大多喜城のある城下町だが、
街の規模はそれほど大きくない。この駅で一気に客が下車した。
大多喜を出ると、少し周囲が山深くなる。並行する川が激しく屈曲しているため、
列車が鉄橋で川を渡る回数も増える。
古いとはいえ一応レールバスなのでそれなりに加速性能はよいはずだが、
カーブが多いせいか列車のスピードは出ない。大多喜から30分ほどで、終点の上総中野に着く。
下車時に、「房総半島横断乗車券」を売ってくれというと、急に言われても売れないとの返事。
本社のある大多喜に切符があるそうなので、大多喜到着までに申し出ておかねばならなかったようだ。
何とも釈然としないが、仕方なく普通運賃を払って下車する。
上総中野17:15発〜五井18:29着 小湊鉄道
上総中野は、乗換駅とは思えないほど静かで寂しい駅だ。
小湊鉄道、旧国鉄木原線共に、この上総中野を目指していたわけではなく、
房総半島横断を目指していたことは前にも述べたが、
結局どちらも半島横断実現できぬままこの上総中野で落ち合う形で今に至っている。
上総中野での乗り換え時間はわずかなので、慌てて小湊鉄道に乗り換える。
乗り換え改札とか、そんな気の効いたものはなかった。
乗り換えた列車は予想通りがらがらであった。車掌から五井までの運賃を払うと、
補充券にパンチを入れて渡してくれた。こんな光景も最近はなかなかお目にかかれなくなった。
上総中野を出ると、無人の山中を進む。どこまで行くんだろう、と思うほど延々と山の中を進むと、
ようやく最初の駅である養老渓谷に着く。有名な観光地である養老渓谷の最寄り駅だが、
実際は3kmほど離れている。その後も寂しい山の中を進む。
途中駅はいずれも無人化されているものの、古い駅舎や駅名標がよく残されている。
首都圏からほど近くにあるというロケーションも相まって、ドラマや映画のロケで小湊鉄道はよく使われるという。
高滝湖というダム湖が近くにある高滝駅を過ぎ、上総鶴舞まで来るとようやく周囲が開けてくる。
やがて、上総牛久に到着。ここまでの駅には交換施設はなく、
上総中野から上総牛久までの間には1列車しか入れない。
そのためこの区間はスタフ閉塞となっており、タブレットの交換を行っていた。
上総牛久から先は周囲に住宅も増え、列車の本数もぐっと多くなる。
光風台などは駅の近くにニュータウンがあり、駅も新しくローカル線という感じはしない。
京成千原線が延びてくる予定だったという海士有木を過ぎると、五井はもうすぐだ。
やがて列車は、JR五井駅の脇にある小湊鉄道の五井駅に到着した。
車外に出て改めて車両を観察する。車両は国鉄のキハ20をベースとしたもので、
ドアや窓などの造りに古めかしさを感じる。塗装はクリームと朱色のツートンカラーで、
前面のデザインとともに阪神の旧型車を思い出させる。
五井からは、再びアクアラインを経由する高速バスに乗って横浜へと戻った。