最終更新日:2021/1/25

世界鉄道案内(シンガポール編)

 シンガポールは、独自の国家戦略により近年著しい成長を遂げた東南アジアの都市国家である。 ここ20年ほどの間に何回か訪問しているが、行くたびに新しい大規模な建物ができ、 古い街が再開発され、地下鉄の新線ができていて、その開発の速さには驚かされる。
 東京23区と同程度の面積に過ぎない小さな都市国家ということで、域内の鉄道は短距離の地下鉄しかないが、 現地の鉄道事情について紹介しようと思う。

目次

シンガポールの鉄道基礎知識

 シンガポールには、MRTと呼ばれる公営の地下鉄が張り巡らされている。 総延長は2020年時点で150kmほどで、東京メトロの3/4程度である。 しかし、路線図( こちら もしくは こちら )を見て頂くとわかるとおり、 建設中の路線が数多くある。成長著しいシンガポールでは、 日本のように予算の都合で建設が凍結されるようなことはほとんどないため、 数年すると東京メトロの総延長を追い抜くことになるだろう。
 シンガポールは罰金大国として知られ、チューインガムの持ち込みやごみのポイ捨て、 深夜の飲酒といった行為に対し罰金が科される。これは地下鉄でも同様で、車内で飲食を行うと罰金を科されてしまうことになっていて、 その旨が車内の至る所に掲示されている。地下鉄で駅弁を食べる人はいないと思うが、 水を飲むぐらいはしてしまう可能性があるので、気をつけねばならない。
 この他、私は乗ったことはないが、隣国マレーシアのジョホールバルとを結ぶ国際列車もある。 国際列車といっても、マレーシアとの間にある幅の狭い海峡を渡るだけのもので、走行距離はわずか5分程だという。 この列車は、かつてシンガポールの中心近く(East West LineのTanjong Pagar駅付近)にあるターミナルにまで乗り入れていたが、 今はマレーシアとの国境付近に駅が移動し、シンガポール国内の大半の区間は廃止されてしまった。
 2005年に訪問した際、East West LineのBuena Bista駅付近を歩いていたところ、たまたまこの鉄道の線路を発見した。 乗車することはかなわなかったが、荒れ地の中を一条の線路が進む様は、未来都市的なシンガポールらしくない光景だった。


罰金に関する車内表示。罰金はないが、匂いの強烈なドリアンの持ち込みも禁止されている。


MRTの設備は先進的で、2005年の時点で改札機は完全ICカード化されていた。


海外のほとんどの地下鉄と同じく、行先表示版には列車ダイヤではなく次の列車が来るまであと何分かが表示される。


Buena Bista駅付近で見かけたマレー鉄道の線路。

鉄道乗車記

日本からシンガポール空港へ(2019年)

 日本からシンガポールへ直行便で向かう場合、JAL、ANA、シンガポール航空のいずれかを選ぶことになる。 (かつては旧ノースウェスト航空、現デルタ航空の便もあったが、廃止されてしまった) 2019年、羽田を午前に出発するANA便でシンガポールに向かった。 搭乗したのはボーイング787である。787に乗るのは実は初めてだったのだが、 機体が炭素系素材でできていることを生かし、機内をある程度加湿することができるようになっている。 (777など旧来の機体は加湿によりダメージを受ける可能性があるため、加湿できない) おかげで、いつものように乾燥で喉をやられることもなく、快適なフライトだった。 シートモニタも新しく使い勝手が良かったので、今後もできれば787の便を狙ってみたい。
 沖縄、台湾、フィリピン、ベトナムの沖合を7時間ほど飛び、夕刻にシンガポール・チャンギ空港に到着。 チャンギ空港は4つのターミナルからなる巨大空港だが、 構内には無料の映画館や植物園があるなど、乗り継ぎ利用者の便を図った快適な空港で、世界的にも評価が高いらしい。 また、シンガポール唯一の空港ということで全便が国際線なのも特徴だ。 そのため、出発もしくは到着の際、必ず出入国審査を通ることとなる(乗り継ぎは除く)。 一方、通常だと出国審査の直前に行われる手荷物検査は、なぜか搭乗口の手前で行われる。 これは世界的にも珍しい気がする。
 前置きが長くなったが、着陸後構内を延々と歩いて入国審査場に向かう。これが結構混んでいて、通過に1時間ほどかかった。 その後、バゲッジクレーム付近にある店で両替やSIMカードの購入をしていると、さらに1時間ほどロスした。
 シンガポール市内へは地下鉄でも行けるのだが、荷物が多いし疲れたのでタクシーで向かう。 空港から市内へ、ほぼ一直線に敷かれた高速道路をタクシーでぶっ飛ばす。 沿道には赤い花を咲かせたブーゲンビリアが立ち並んでいて、南国に来たことを実感する。 また、都市国家シンガポールならではの高層団地もびっしりと立ち並んでいる。
 15分ほど走ると、目の前に巨大な高層ビル群、そして名所のマリーナベイサンズやフラワードームが見えてきた。 ここまでくると中心部は近く、あっという間に宿泊するホテルに着いた。 この後、シンガポールに4泊して、地下鉄やLyft(Uberのような配車サービスで、安くて非常に便利だった)を使っていろいろな観光地を巡った。 以下、2019年以前に訪問した際の記憶も掘り起こしつつ、地下鉄各線を紹介しようと思う。 なお、鉄道関係の写真はいずれも2005年に撮影したものである。


羽田からボーイング787でシンガポールに出発。


空港のイミグレ付近では巨大なディスプレイがお出迎え。

North South Line

 路線図上では赤色で表示される。沿線の主な観光地は以下の通り。

 North South Lineは後述するEast West Lineと共に最初期からある路線で、車両も駅構内も若干古びている (とはいっても日本の地下鉄の中だと比較的新しい部類に入るだろうが)のが特徴だ。 車両はアルミ製で赤い帯を巻いており、6両編成であることから何となく丸ノ内線に似ている。 そして、走行音も丸ノ内線など東京メトロのチョッパ車にそっくりだ。それもそのはずで、この車両は日本製であるらしい。 日本と大きく違うのは、車体全体が飛行機のように丸みを帯びており「下膨れ」になっている点、そして座席がプラスチック製である点だろうか。 また、地下区間の駅はほぼすべて、東京メトロ南北線のようなフルスクリーン式のホームドアを備えていて安全性が高い。 (以前、地上区間の駅を利用した際は、ホームドアのない場合もあった)
 この路線は政治の中心であるCity Hallと、古くから商業の中心であるオーチャード・ロードを結ぶ路線で、この区間はいつもにぎわっているし、 日本の観光客の方が利用する機会も多いだろう。なお、Raffles Placeの隣にMarina Bayという駅があるが、ここはマリーナベイサンズの最寄り駅ではないので注意が必要だ。 (Circle Lineに乗り換えてBayfrontという駅に行く必要がある。)
 Orchardより北は基本的に住宅街を進むため、観光客がわざわざ乗る機会はなさそうだが、6駅進んだAng Mo Kioという駅からは、有名なシンガポール動物園へのバスが出ている。 ただし、このバスは高速道路を通らない一般の路線バスで、途中での乗り降りも多く、駅から動物園まで30分以上かかった。 時間がもったいないし、タクシーやLyftで向かう方がおすすめである。


Buena Bista駅ホームを出発する地下鉄車両。どことなく丸ノ内線に似ている。


日本の車両と異なりドアが外釣りで、ロンドンの地下鉄のように肩の部分が丸みを帯びているのが特徴。


見にくいが、線路脇には集電用の第三軌条が敷かれている。

East West Line

 路線図上では緑色で表示される。沿線の主な観光地は以下の通り。

 East West Lineはその名の通りシンガポール島内を東西に横断する路線である。 島の東部にあるチャンギ空港にも乗り入れていて、観光客が利用する頻度も高いと思われる。 ただし、空港へ行く路線は本線から分岐する支線扱いとなっていて、途中乗り換えが必須となる。 一方、西側は主に工業地帯となっており、観光客が立ち入る機会はほぼなさそうだ。
 North South Lineとほぼ同じ車両を使っていて(おそらく共通運用か)、6両編成であるのも同じである。 面白いのはNorth South Lineと接続するCity Hall、Raffles Placeの各駅で、 ホームが赤坂見附駅のような2層構造になっていて、各路線の乗り換えが同一ホーム上でできるようになっている。 しかも、City Hall駅では南北線の北行きと東西線の西行きが接するのに対し、 Raffles Place駅では南北線の北行きと東西線の東行きが接する形となっていて、どの方向に乗り継いでも同一ホームで乗り換えできるよう工夫されている。 もっとも、後からできた路線とは必ずしも接続はよくなく、通路を長々と歩かされる駅も多い。
 上記の構造を生かした、路線間の直通列車は現在運転されていないが、 一度ダイヤ乱れの際に乗車したところ、南北線の南行きの列車がRaffles Place駅から急遽東西線の西行きの列車に変更になったことがあった。 (英語で案内があったのだが聞き取れず、おかげで南北線のMarina Bay駅に行くはずが東西線のTanjong Pagar駅に連れて行かれる羽目になった・・)


地下区間には全駅ホームドアが完備されている。開業が古いEast West Lineのドアはステンレスむき出しのもの。


Buena Bista駅付近の高架を進むEast West Lineの車両。

North East Line

 路線図上では紫色で表示される。沿線の主な観光地は以下の通り。

 North East Lineは2003年に開業した比較的新しい路線である。 編成は上記2路線と同じ6両だが、車両はフランス・アルストム製だそうで、車体構造や車内のカラーリングなどが大きく異なる。 仕切り板などにガラスを多用し、シートは青系統のものとなっている。
 ついでながら、上記の2路線の車体には「SMRT」のロゴがあったが、North East Lineの車両には「SBS Transit」のロゴがある。 営業上はほぼ一体ながら、両路線は運営主体の企業が異なるようだ。(東京メトロと都営地下鉄のような関係なのだろうか?)
 本路線の北の方は主に住宅地で、沿線住民用のトラムと連絡している(らしい)。 一方、南の方では複数の観光地を結ぶほか、終点のHarbour Front駅ではシンガポール随一の観光地であるセントーサ島行きのモノレールと接続していて、 観光で利用する頻度は高いだろう。


North East Lineのホームドアは旧来の路線に比べてデザイン性が上がっている。


North East Lineの車内。MRTは全路線ともプラスチック製のロングシートを装備。


日本と同じく、到着駅までの所要時間を併記した路線図もある。

Circle Line

 路線図上では黄色で表示される。沿線の主な観光地は以下の通り。

 Ciecle Lineは2009年以降に順次開業した、シンガポールで4番目の路線である。 まだまだ発展中の路線だからか、編成は3両と短い。 日本語に訳すと「環状線」という名前の路線だが、一部未開業の区間もあり、環状の一部分が欠けた状態となっているほか、 Dhoby Ghaut〜Promenade間の枝線が存在する。ただし、運行形態上はDhoby Ghaut〜Promenade間が本線、 未完成の環状線の一部であるMarina Bay〜Promenade間が支線という形になっている。 Promenade駅では、支線と本線を同一ホームで乗り換えられるようになっている。
 観光客がこの路線を利用する頻度が一番高いのは、本線よりもMarina Bay〜Bayfront〜Promenade間の支線の方だろう。 Marina BayでNorth South Lineと接続しており、オーチャード・ロードなどの旧市街からマリーナベイサンズ方面へ行く際に便利な路線である。 この他、本線のEsplanade駅は地下通路を通じてNorth South LineやEast West LineのCity Hall駅とつながっているので、乗り換えに利用することが可能だ。


2005年に撮影した路線図。この時はまだ、Circle LineやDowntown Lineは姿も形もないことがわかる。

Downtown Line

 路線図上では青色で表示される。沿線の主な観光地は以下の通り。

 Downtown Lineは2013年末に最初の区間が開業した。MRTの中では最新の路線で、編成は3両である。 2013年にシンガポールを訪問した際はまだ路線ができておらず、Bayfront駅のホーム予定地は囲いに覆われていたのを覚えている。 今では、Bayfront駅のホームも完成し、Circle Lineと同一ホーム乗り換えができるようになっている。
 この路線は市中心部をまっすぐ突っ切る他の路線と異なり、「α」の字を描くように中心部をぐるっと大回りして通過する。 ただし、路線が交差する部分には駅はなく、例えばLittle IndiaからChina Townへ行こうとすると沿岸部を大回りするため時間がかかってしまう。 また、North South Lineとは接続駅がないなど、後発路線にしては乗り換えが不便なので注意が必要だ。


East West LineのChinatown駅構内の様子。今はDowntown Lineの駅もでき、構内が広くなった。

シンガポールの観光地

 上述した通りシンガポールは近年驚くほどの発展を遂げているが、資源のない小さな島国の経済力を支えているものの一つが観光業である。 巨大な庭園やショッピングモール、カジノなどを備えたマリーナベイサンズや、 セントーサ島のテーマパークがその代表格である。また、中国やインド、アラブ諸国の移民を多く受け入れてきたことから、 様々な文化が入り混じった独特の街並みも特徴となっている。 治安もよく、衛生面も改善されてきて日本とほとんど変わらないぐらいになってきている。
 これらの理由から、海外旅行初心者や子連れでも渡航のハードルが低く、初めてのアジア旅行にはお勧めできるだろう。 逆にいうと、どの建物も昔に比べると小ぎれいになりすぎているきらいもあり、アジア特有のディープさのようなものはあまり期待できない。 物価も近年は上がってきて、日本より多少は安い、というぐらいになってきている。
 また、常夏の熱帯気候ゆえの暑さもネックになる。 季節にかかわらず、昼間に屋外を長く歩くのは相当しんどいので、外を歩くような観光は朝か夕方以降にし、 日中はショッピングモールなどクーラーの効いた建物の中にいるのがよいだろう。
 以下、実際に見て回った中からいくつか見所を挙げてみようと思う。 とはいっても、文章では「豪華だ」「壮大だ」といったベタな感想しか書けそうにないので、 写真多めでお伝えしたい。


シンガポールのベイエリアの全景。中央付近にマーライオン公園、左手にマリーナベイサンズ、左下には劇場がある。

マリーナベイサンズ、ガーデンズバイザベイ、シンガポールフライヤー

 マリーナベイサンズは、これまで何度も述べてきた通りシンガポールを代表する観光地である。 ただし、写真にもある船の形をした建物と、それを支える3本の柱のようなビルはホテルとなっていて、 その横の建物にショッピングモールやカジノが入居する形になっている。 ホテルはロビーを除き利用者以外は立ち入れないが、最上階の一部が展望台となっていて、ここは入場料を払えば入ることができる。 展望台からはシンガポールの市街と、横にあるガーデンズバイザベイを一望できる。 ショッピングモールには一流ブランドが多く軒を並べるほか、巨大な滝(ただし後述するジュエルの物より一回り小さい)や手漕ぎのゴンドラが走る池など、 趣向を凝らしたアトラクションがあり、見ているだけで楽しい。奥の方には各種料理を取りそろえたフードコートがあり、 遅くまで営業しているので、食べるものに迷ったら行ってみるといいだろう。 そして夜にはプロジェクションマッピングと噴水ショーを組み合わせたイベントも行われ、多くの人が集まる。
 ガーデンズバイザベイは独特の形状の巨大なタワーが立ち並ぶ人口庭園で、ここも夜のショーには多くの人が集まる。 昼間は直射日光にさらされるので暑いのが難点だが、巨大タワー以外にも様々な植物や池などが並んでいるので、 ショーの後にでも散策してみてもいいだろう。ただし、タワーとタワーをつなぐ空中回廊(有料)は夜は非常に混んでいたので、 これだけは日中に行った方がいいかもしれない。また、ショッピングモールから庭園へ行くには専用の通路を通る必要があるのだが、 これがマリーナベイサンズの建物を貫通するような作りになっており、建物の巨大さに圧倒された。
 シンガポールフライヤーは、先ほど述べたフードコートのあたりから外に出て、海の上を渡る歩道橋を超えたところにある。 日本にあるいわゆる観覧車とは少し違っていて、ゴンドラが小型バスぐらいのサイズがある大きなもので、ホイールの外側に固定されている。 そして、ホイールの回転と合わせてゴンドラ内の床も回転し、下を向くようになっている。 ロンドンやラスベガスにも似たようなのがあったので、最近世界的にちょっとしたブームになっているのかもしれない。


夜のマリーナベイサンズ。右手には付属するショッピングモール、手前方向には海を渡る遊歩道が延びる。


マリーナベイサンズの展望台から見た、ガーデンズバイザベイの全景。後方には多数の貨物船が行き交う。


同じく展望台から見た市街地の様子。中央の高いビルの足元にCity Hall駅がある。


写りはよくないが、夜の噴水ショーの様子。プロジェクションマッピングにより様々な模様が映し出される。


ガーデンズバイザベイの独特の形状の塔の間には遊歩道があり、歩くことができる。


シンガポールフライヤーの頂上付近からの展望。

マーライオン公園

 マーライオン公園はマリーナベイサンズの対岸、市中心部の海沿いにある。 以前はコペンハーゲンの人魚姫像などと並び「世界三大がっかり名所」と呼ばれていたが(周囲に何もないので)、 今は周囲にちょっとしたショッピングモールができ、またマリーナベイサンズを眺望できるようになったことから、 本物の名所になった。
 よく見ないと気付かないかもしれないが、水を吐く大きなマーライオン像の裏手に、 人間の身長サイズの小さなマーライオン像もある。これは写真撮影用だろうか。
 ちなみに、マーライオン公園から川沿いを遡るとボート・キー、そしてクラーク・キーへと行くことができる。 ここは川沿いに遊歩道に面して多くの飲食店やバーが立ち並び、夜はとても賑やかである。


マーライオンはシンガポールのお土産物などにもよく描かれる。


ライトアップされたマーライオン像の裏に、小さな像がちょこんと佇む。


マリーナベイサンズの展望台からもマーライオン公園が見える。


マリーナベイサンズ側から市街地を眺める。写真右手の見切れたあたりにマーライオン公園がある。

オーチャード・ロード、チャイナタウン

 オーチャード・ロードは、日本でいえば新宿のような商業地で、日本から進出した高島屋など数々のショッピングモールがある。 真新しい立派なモールもあれば、ちょっと妖しい雰囲気を放つ古めかしいビルもあって、見比べるのも面白い。 また、モールの中には大抵大きなフードコートもあり、名物のチキンライスなどローカルフードの食べ比べもできる。
 チャイナタウンは国内外の中華街と同様、中華料理店や雑多な商品を売る土産物店が立ち並ぶ。 建物が一般的な中華風ではなく、シンガポール独特のプラナカン様式となっていて、パステル系の鮮やかな色になっているのが特徴だ。
 中華街ではあるが、街の一角にはスリ・マリアマン寺院というヒンズー寺院がある。多民族国家のシンガポールらしい光景だ。 入り口で靴を脱いで中を見学すると、ヒンズーの神様の像が立ち並んでおり、 その前でインド系の僧侶が何やら儀式をしている光景が見られた。 この他、シンガポール各地にはリトルインディア(インド人街)やアラブストリート(アラブ人街)もある。 また、仏教寺院やモスクも各所にあって見学することができる。


主に地元民が利用する商業地・オーチャード・ロード。左手には高島屋がある。


日本の中華街とは違った雰囲気のチャイナタウン。


スリ・マリアマン寺院の門の上には色とりどりの神様の像が並ぶ。

ジュエル・チャンギ・エアポート

 ここまではありきたりの観光地の紹介だったが、最後に最新のスポットを紹介したい。 先ほど述べたチャンギ空港に2019年にできた「ジュエル」というショッピングモールである。
 チャンギ空港は4つのターミナルからなるが、LCC中心に発着するターミナル4以外のターミナル1〜3はつながっている。 ジュエルはその3つのターミナルの中央にある。ただし、どちらかというとターミナル1に近く、それ以外からは通路を少しばかり歩かねばならない。
 日本に帰国する日、早めに空港の到着してジュエルを歩いてみた。まず、建物の真ん中を貫く巨大な滝が否応なく名に入る。 上層部には、屋内とは思えないほど木々が密集した庭園があり、子供用の遊具などもある。 下層部はブランド品店や東急ハンズなどが入居するショッピングモール、それにシンガポールの有名レストランがいくつもある。 トランジットで時間が余った際など、数時間はつぶせるのではないだろうか。


ジュエルの上層部から、建物全体を眺める。巨大な滝が建物を貫いているのが分かる。


1階から滝を眺める。地下部分では巨大なガラス製の器の中を水が流れる。

シンガポールの食事

 シンガポール旅行の楽しみの半分くらいは食事だと言ってしまっていいぐらい、料理の質は高い。 多民族国家らしく、大きめのフードコートに行くとマレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、インド、中国、韓国、日本の各料理の店が並び、 どれを食べようか迷ってしまうほどだ。写真に上げたのはほんの一例で、これ以外にも名物料理は数多い。 日本のレストランも普通に進出していて、大阪王将、ペッパーランチ、吉野家、大戸屋などの店を見つけた。


シンガポールを代表する料理、チキンライス。蒸し鶏と焼いた鳥の2パターンから選べることが多い。


こちらも名物料理のチリクラブ。蒸した巨大な蟹にそれほど辛くないチリソースをかけたもの。


フードコートでは、鶏の丸焼きが店先につるされている光景をよく目にする。