阪急6300系よ、永遠に(その2)

 京都線特急車として長年活躍してきた阪急6300系であるが、 車両の老朽化や車体構造の問題などにより、ついに廃車解体される編成も出てきた。 後継となる9300系も着々と増備されており、京都線からの撤退も現実味を帯びてきた。
 しかしながら、ここ数年の阪急の台所事情は苦しいらしく、 6300系より遥かに古い車両がまだまだ本線格の路線で使用されている状況である。 中には昭和30年代製の車両もあり、車両更新のペースが速い関東大手私鉄では考えられない状況となっている。
 そこで、6300系をリニューアルして再利用することを検討した結果、 苦肉の策として乗客の少ない嵐山線で活用することとなった。 そして2009年春、リニューアルされた3編成が揃って嵐山線専用車として再デビューを果たした。 登場直後に乗車・撮影する機会があったため、写真とともに紹介したいと思う。

 なお、このページの写真については大きいサイズの画像を用意しました。 写真をクリックするとポップアップします。

6300系写真集〜リニューアル車編〜

 車内は大幅にリニューアルされたものの、外観にはほとんど変化がない。 これまで6300系がまず表示することのなかった「普通 桂−嵐山」の字幕が目新しい。


 2連窓が並ぶサイドビューも従来通り。なお、窓ガラスがE231系などで用いられる緑色がかったものに交換され、 車内がやや暗くなった。


 外観で唯一変わったのが、車番の上に新CIが入るようになった点。 9000系列でも同様の位置に新CIが入っている。


 車内は、入口付近のクロスシートが連窓2つぶん撤去され、ロングシートに交換された。 また、車両中央部のクロスシートも従来の2+2配置から2+1配置に変更されている。 JR西日本の117系ロングシート改造車(300番台)とそっくりの座席配置といえる。
 なお、ロングシート部には長い吊り革が、クロスシート部には短い吊り革がそれぞれ設置されている。


 2人掛けの転換クロスシートは新品に交換された。 足元がすっきりしており、通路側の肘掛けは木製となっている。おそらく、9300系のものとほぼ同一と思われる。 窓側の肘掛けは廃止された。


 こちらは1人掛けのクロスシート。阪急の車両で1人掛けクロスシートを採用した例は私の知る限りない。 戦前や終戦直後はいざ知らず、ここ数十年では初の採用と思われる。
 座り心地は2人掛けとほぼ同じである。 座面は従来のようなスプリングの利いたものではなく、223系など最近の車両によく見られるバケットタイプのものである。 そのため、やや座席が固いと感じる人もいるかもしれない。 一方、座席の下に空間ができたことで足は伸ばしやすくなった。


 運転台後ろの様子。化粧板は側面が8000系列同様の濃い木目、妻面はもっと濃い木目に張り替えられた。 これは近年の他系列のリニューアル車に準じている。


 運転台後ろの座席は、唯一従来のシートが残されている。 ただし、モケットは他の座席同様の色合いのものに張り替えられた。


 出入り口付近に設置されていた補助椅子は撤去され、簡易な腰掛けのようなものが設置されている。 余談だが、8000系のクロスシート車にも、このような簡易腰掛が設置されている。


 貫通路の扉は、ガラス窓が縦長に拡張されたものに交換された。


 出入り口扉も、ガラス窓が下方に延長された9000系列タイプのものに交換された。


 天井部分の様子。クーラーの吹き出し口の構造は従来と同じだが、 吹き出し口の金具がブラウンのものに交換された。


 網棚も、従来のプラスチック製パイプで構成されたものから、 リニューアル車用のアルミ製のものに交換された。


 側面窓の様子。従来の鎧戸は廃止され、下引き式のカーテンに変更された。 これも他のリニューアル車で見られるものである。
 なお、窓自体はパワーウィンドウには変更されておらず、以前のままである。


 車番表示の上に銀色の製造銘板が新たに取り付けられ、従来の銘板は撤去された。 なお、銘板にはリニューアルを担当した「アルナ車両」という現社名ではなく、 6300系製造当時の社名である「アルナ工機」と書かれており、興味深い。


 ブルーリボン賞受賞のプレートは存置された。
 なお、同じ年にローレル賞を受賞したのは国鉄キハ66、東急8500系、富士急行5000系であった。 東急8500系などは最早同社でも最古参の部類であり、本格的な置き換えが始まっている。 それに比べると、阪急6300系は車齢的にはまだ中堅クラスであり、置き換えペースの違いを感じる。


 運転台の様子。化粧板が張り替えられた以外は、特に変化は感じない。 阪急では、リニューアル時に車内設備はかなりの大改造を行うが、制御装置などの床下機器に手を入れることは少なく、 この6300系も同様である。


 桜の咲く嵐山駅で、発車を待つ。
 今回の6300系リニューアル車、距離の短い嵐山線専用車にしてはやや設備が贅沢すぎる感がしないでもない。 個人的には、京都線特急に入る7300系あたりにこういう改造を望みたいところだ。 あるいは、この6300系リニューアル車4連を2本繋いで、大阪から嵐山に向かう観光列車を運転、 というのも面白いかもしれない。
 ともかく、大リニューアルを経て嵐山線という第二の職場を見つけた6300系、 あと10〜20年は活躍できるだろう。本線から姿を消しても、嵐山線での末永い活躍を望みたい。